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先日といってもだいぶ前になりますが、11月11日にAMDからBulldozerアーキテクチャの新CPU FXシリーズが発売されましたね。

各所でベンチマークが出ていますが、最上位のFX-8150はIntelのCore i7 2600に対してシングルスレッドで3分の2、マルチスレッドでも1割引きくらいの性能です。
旧世代のPhenom II X6 1100Tに対しても互角くらいで買ったり負けたりの性能です。
消費電力は、アイドル状態でこそi7 2600並で、X6 1100Tよりも10Wほど少ないですが、最大負荷時はi7 2600より80Wほど、X6 1100Tより30Wほども多く消費します。


期待はずれな出来に見えるBulldozerですが、パフォーマンスが悪い理由を調べてみるといくつかの要因が見つかります。
1.Bulldozerアーキテクチャへの最適化が不十分
2.コア間の帯域増と引き換えにレイテンシが増加
3.L1キャッシュが減少
4.CPUの重要部分を自動ツールにより設計
5.発熱が多くTurboCoreが十分働かない

Bulldozerは、1つのモジュールに2つの整数演算ユニットと1つの浮動小数点ユニットを持ち、フェッチ/デコードは共有という従来のCPUと異なるアーキテクチャをとっています。
このため、従来のCPU向けに作られたアプリケーションではパフォーマンスが十分発揮できないと見られています。

コア間の帯域が増えているもののレイテンシが増加しているため、特にゲームなど一部のアプリケーションでパフォーマンスが低下しているそうです。

BulldozerのL1キャッシュは、L1 DATAが整数演算ユニットごとに16KB、L1 Instがモジュールごとに64KBという構成になっています。
PhenomIIではコアごとにL1 DATA、L1 Instともに64KBあったので、減少していることになります。

AMDの技術者だったCliff A. Maier氏の話によると、Bulldozerは性能に直結する様々な部位を自動設計ツールで設計しており、開発期間の短縮と引き換えに20%遅く、20%大きなダイになったそうです。

Bulldozerは高クロックなためか発熱が多く、高負荷な処理をマルチスレッドで行うと、TurboCoreが十分働かないことが少なくないようです。
これも額面通りの性能が出ない一因となっています。


Bulldozerが遅い理由としては以上のようなところらしいです。
しかし、理由を知れば次のようにいくつか希望も見えてきます。
1.改良と最適化を進め、アプリケーションの最適化も進めばパフォーマンスを発揮できるようになる
2.設計を手作業で最適化していくことで、最大25%の高速化が見込め、ダイ縮小により省電力化と歩留まりの向上も期待できる
3.プロセスが成熟してくればより高クロック化できる

12年第3四半期に登場が予定されているBulldozer後継のPiledriverを使用したVisheraに期待ですね。


・2012.1.21追記
Windows7以降用の2つの最適化パッチ(KB2645594KB2646060)がマイクロソフトより公開されました。
海外サイト(VR-ZONE)に検証が載っています。

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